
●AT-NF200の不具合
アウディS4はB&Oのオーディオが標準ですが、これは低域が20Hzまできっちりフラットに出ている素晴らしい出来。このオーディオのヘッドユニットを先日パイオニアのサイバーナビに変更しました。
サイバーナビをソースにしてB&OのDSPアンプに入力しているのですが、B&OオリジナルオーディオでSDカードやiPodを聞くのに比べ、若干ハイあがり気味で低域のやせを感じていました。これはサイバーナビのキャラかなぁとか漠然と考えていたのだが。。
S4のナビインストールをやってもらったフランカーさんによると、アウディにはノイズの問題があり、ラインフィルタが必須の状況とのことで、うちのS4にもオーテクのAT-NF200がDSPアンプの直前に挿入されていました。
そのNF200がなんと不具合が出てしまい、イグニッションをONにして30分もすると、右チャンネルがノイズまみれになって音が出なくなる。逆に最初から音がでなくて、30分ほど走ったら治ることもあったりして。
実は最初はこれアウディのオーディオの不具合と思いこんでました。
というのも当初はMMIリセットでたまたま治ったりしてたので。でも、だんだんノイズが酷くなりMMIリセットなんて何度やっても効かなくなってきて、いよいよ車のアンプが故障か、と。これディーラーで直すと数万とられて、しかも時間もかかると聞いていたので暗くなってました。
まあそれでもディーラー行く前に一応ひととおり調べることにして、いろいろいじってたら、ノイズフィルターの入出力をセットで左右chの接続入れ替えたら、ノイズの出るチャンネルも入れ替わることを発見。これってノイズフィルタの中がおかしいってことになりますね。
で、フランカーさんにオーディオテクニカのAT-NF200の新しいのを送ってもらって交換したら、今のところ好調で不具合は再発してません。単純なノイズフィルターでも不具合起こすんですね。おそらく内部の中華製トランスの問題と思います。
●ノイズフィルターって?
で、ノイズフィルタみたいなものが不具合起こしたもんで、ついでに、いろいろ調べてると、これ、中にちっちゃいトランスが2個入っててグランドを絶縁する単純な回路とわかりました。
90年代、ホームの高級オーディオ市場で、ちょっとだけ流行ったCDラインフィルターと同じってことです。CDプレーヤとアンプの間に入れて、音をマイルドにするアクセサリー。トランスで絶縁する単純さゆえ、インピーダンスもCD側かアンプ側かどちらかは合わなくなるので、トランスによって音質ががらがら変わる。当時はその音質の変化をデジタルがアナログ的に変わるとか言ってましたが、要はインピーダンスのアンマッチで周波数特性のバランスが崩れたり、高い周波数は通さなくなるため、スピード感が低下するわけです。当時は数万円でいろんな会社がこの絶縁トランスを商品化していました。マランツのDLT-1なんて有名で、今でもヤフオクで値がつくほどです。
●ノイズフィルター:別の選択肢
このフィルタをグレードアップしたら音もかわるでしょ、ってことでオーディオの虫がちょっと騒ぎはじめました。
もともとのフランカーさんのインストールのオーテクのAT-NF200はど定番です。ところがググると、ビートソニックがなんと1万円の車用の高級ノイズフィルターを出してるじゃないですか。なんじゃこれ?ビートソニックってそもそも何の会社?
ビートソニック NF-1A
探していると、他にも未だにホーム用に、CDライントランスが春日無線から出てました。
春日無線 KA-CD1

だんだんこれらが気になってきてました。どっちも1万前後と似たような値段ですが、トランスは明らかにKA-CD1の方がでかくて重い。重量信者の癖があるのでこっちにしようかと思っていましたが、レビューを見ると評価ははっきりしていて、これを入れると音が重く鈍い感じになり、レンジがはっきり狭まる、というものでした。ちょっとこれは好みに合わないかも。。。
ただビートソニックって正直何者かわからないし、ちょっと胡散臭いパーツ屋のにおいがしていたわけだけど、ノイズフィルターも安いのと高いの2種類出しているし、ホムペとかみたら昔真空管アンプなんかも出してたことが判明。変な会社だ。
ということで興味が湧いたので、さっそくビートソニックに電話して聞いてみました。電話には結構詳しい人が出てこられました。NF-1Aってノイズフィルタとしてはやたら高価なんだけど、なんでだ?ときいたら、使っているトランスはハイインピーダンス仕様の高級品なので、低域がちゃんと出る、コアもでかいので許容電流も大きく、コア飽和が起こりにくい、インピーダンスが高い(10KΩ付近だそうです)のでプリの負荷的にもやさしい、など、ちゃんと理屈通りのポリシーある設計がされていることが判明。胡散臭いパーツ屋となめてましたが、中身を技術的に説明できるのは大変に好印象でした。その他基板もガラエポなどを使用しこだわっているようです。
●ビートソニック NF-1A購入
ということで、早速購入してみました。yahooショッピングのHARU Onlineがビートソニックの公式ストアみたいですが、ポイントが結構ついたので実売税込み9000円程度で買えました。
届いたのでオーテクのNF200からリプレースしてみましたが、いままでオーテクで不満だった低域がきっちり出るようになりました。最高域もオーテクより綺麗に繊細に出る印象です。
そこでPCのWavespectraとUSBオーディオIFを使用して、96KHz/24bitサンプリングで周波数特性を測定してみました。測定結果は下記のとおりです。

グラフ見ればわかるようにまずゲインが違いますね。NF200は若干音が小さくなりますが、NF-1Aはわずかに大きくなります。
周波数特性は、NF-1Aは低域がちゃんと10Hz付近まで伸びており、高域も20KHzで-1dB以内と、だら下がりでカタログスペック(40KHz/-1dB)よりは劣りますが、ちゃんと上も下も素直な特性です。
オーテクNF200の方は、まず特徴的なのは、高域の強いピークです。40KHzに向けて発振気味にピークが立ちます、ただこれは可聴域外なのでおそらく耳には聞こえない。でもアンプには悪さをするかも。
低域も100Hz以下くらいからだら下がりになっています。レベル的には大した下がり量ではないですが、低域がレベル低め、高域がピークの影響で高めなので、結果、相対的にややハイ上がり気味の再現になり、低域は痩せる感じがあります。聴感を裏づける周波数特性です。このことから、NF200のトランスは、おそらく数百オームレベルの低インピなトランスと思われます。実物を見ても、いかにも中国製の安物といった出で立ちで、NF-1Aの綺麗に作られたトランスとは、サイズも高級感もかなり見た目に違いがあります。
NF-1Aは10KΩに近いハイインピーダンストランスを使用とのことでしたが、そのとおりのようで周波数特性は原音を色づけする感じがなく、素直でした。
●NF-1Aまとめ
というわけで、NF-1Aは、値段はやや高いですが、低域をしっかり出しながら、高域もぼけない程度に良いバランスをとったトランスが使用されているようで、このビートソニックNF-1Aは高音質のイズフィルタとしてお勧めです。オーディオテクニカAT-NF200はカーオーディオのインストールに使われるノイズフィルタとしては定番中の定番で、値段の割りにいい特性を出していると思いますが、これで低域のやせを感じられるようなちゃんとしたカーオーディオをお持ちの場合は、NF-1Aはいい選択肢になると思います。
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